四万十川ウルトラマラソン

              2004.10.17

走り始めてはや9年。

フルを走ることが精一杯の私には

ウルトラの世界は知っていても別世界と思っていました。

それが、いつの頃からか漠然と走れるんやろか

でも、一度は走ってみたいなぁと思うようになりました。

そして、本来なら去年の秋に走る予定をしていましたが

病院をハシゴするような状態では走れるはずもありません。

練習をしても思うように走れず悶々とする日々が続きました。

昨秋11月の某練習会でひたむきに走る「ランナー」を見て

まだまだ甘い自分を自覚し、心機一転。

走りに対する考え方がその時から少し変わりました。

それを機に、少しづつ走り込みも出来るようになり

春を迎える頃にはロング走の翌日の筋肉痛も軽微で

手応えを少し感じ始めました。

ガラスのようなヒザの為に去年からサプリメントも飲み続けています。

フルを走る時も階段を一段づつ踏んでいったように

ウルトラもその前に適度の距離を走ろうと思い

5月の武庫川ユリカモメウルトラマラソンを選択しました。

トライアルとして70kmという距離は丁度よかったし

河川敷の平坦なコースは一見楽なように思われますが

周回コースは単調で、苦手な私にとって、それを克服するのも練習の内と思ったし

更に気候的にそこそこ暑い時期であることから決めました。

予想外に苦しみながらも、なんとか完走。

これで、次はウルトラと思っていた時に思わぬ「抵抗」にあう。

マラソンはフルまでにして欲しいと思っている女房が「うん」と言ってくれない。

事後承諾となった武庫川への参加にもブーイングが出ていた。

体があまり丈夫とは言えない私のことを気遣ってのことと判っているだけに・・。

二人で話し合って、最後は折れて曲がるほど譲歩してくれて

「行きたいんでしょ」と一言。

ありがとう。

6月19日申し込み受付開始。すぐに申し込む。

7月10日、当選を知らせる封筒が届きました。

現地までの足と宿は濱ちゃんたちの「ツアー」に入れてもらう事になり

あとはしっかり走るだけとなったのですが・・。

周りのランナーが次々と落選する中で、喜ぶべきことなのだが

浜坂麒麟獅子の後からすっきしない脚がここに来て更に悪化。

嬉しさも中くらいという感じでした。

大栄町すいか長いもの後の練習で痛めた左脚が意外と長引き

夏場に走り込む予定が大幅に狂う。

7月はほぼ全休、8月も低調。

9月になり、気を取り直してようやくロング走が出来そうな

状態に戻りかけたけれど、走る度にリタイアーの連続。

なんとか走れる格好がついてきたのは10月頭。

あと1ヶ月欲しいと正直思いました。

 

前日

金曜にほろ酔い気分で用意した荷物をかかえて、始発バスで出発。

7時半に神戸駅で濱ちゃんたちと合流し途中でダブルさんやshinakoさんも

合流し総勢18名の大ツアーとなりました。

昼食場所、連絡をもらった時は既にその場所を過ぎていて

数`引き返すハプニングもありました。

8時間ほどかけてようやく中村市に到着。

早速受付会場の市民スポーツセンターに向かう。

関西方面から来ているラン仲間や

道マラで知り合った札幌の人達とも偶然にもそこで、殆ど会った。

少し時間をつぶして、5時からのウェルカムパーティーに参加。

噂には聞いていたけれど定刻少し前に会場となっている

商店街の中央に並べられた机の周りにはびっしりと人の輪が出来ていた。

なんとかビールと焼きソバだけは確保(?)。

めぼしい食べ物は「あっ」という間になくなり、ちょっと淋しい光景でした。

まぁ、それでも、うどん、おでん、たこ焼き、おにぎりは胃の中へ。

ホテルのある宿毛へ移動。途中で明日朝の食事を買い求める。

2時半起床3時半出発の為、風呂に入り、ウエアーの準備や

荷物の仕分け(レストステーション用とゴール地点用)を済ませて、9時頃には床に着く。

 

当日

3時半にロビーに集合。お寝坊さん約1名。これも、ご愛嬌でした。

受付会場からシャトルバスに乗り換えスタート地点に向かう。

真っ暗な世界のなかで蕨岡中学校のグランドだけが光々と輝いていた。

トイレも済ませスタートを待つ。

松明の灯りの下、スタートラインに並ぶ。

フルのような緊迫感がない。

そして、意外と冷静な自分にちょっとびっくり。

 

5時半スタート。

いよいよ私の初ウルトラの幕が上がった。

辺りはまだ暗く車のライト等がランナーに走路を教えてくれる。

早い時刻にもかかわらず、家の前で応援してくれている。ありがたいことです。

飛ばし過ぎないように、それを心掛けるけれど暗くて時計が見えない。

春先にはかなり強気な計算もありましたが

最近は11時間は切りたいなぁ、10時間半位なら尚良しだがまぁ無理

やはり、12時間以内が妥当かな、とも思ったり・・。

5`辺りでようやく夜明け。

〜5` 28:52

 

夜が明けて前方に山の姿が見える。ゆる〜く上っているけれど、殆ど気にならない。

ペースはほぼ予定通り。

5`あたりから、給水・給食所が用意されている。

約2.5`毎に水、約5`毎にスポドリ、バナナ、梅干、おにぎり等が用意されている。

ホテルを出る時に飲んだ痛み止めのボルタレンが効いてきて

ガソク筋の痛みは殆ど気にならない。

淡々と走れている。脚の感触は良好。

若干両脚が軽〜くしびれる感じがあるけれど、走るのには気にならない。

5〜10` 28:17

 

10`過ぎから上りとなるけれど、この辺りはまだ勾配は緩やか。

声援が途切れないのに驚く。

抜くこともあれば抜かれることもあるけれど、全く気にならない。

自分の走りをして、ゴールを目指すのみと言い聞かせる。

買い求めたカーボショット。ジェイさんは20km毎に摂ると言っていたけれど

体力のない私は15`毎に摂ることにし、まず15`地点で摂取。

10〜15` 29:41

 

16`辺りから本格的な上りが続く。

残酷マラソンの上りを経験しているので、苦にならない。

ペースは自然と落ちて`7分弱。

見下ろすと上ってくるランナーの姿が見える。

写真を撮ろうと思ったが躊躇している間にシャッターチャンスを逃す。

上りは頑張らない、と言われたことを思い出す。

15〜20` 34:30

 

21`付近の堂が森峠で上りは終わり。

上りに比べて下りの距離は長い。

ここで飛ばすと後半に確実に響くので

抑えて抑えて走る。 

20〜25` 29:59

 

エイドはほぼ全て立ち寄るようにしている。

27`付近のエイドでチョコの袋をむくのに少してこずっていると

スタッフのおじさんがイスを出してくれて

「まぁ、ゆっくりしいな」と。

「座ってしもたら、走られへん〜」と返事して立ってむいて食べ、前へ。

25〜30` 28:20

 

下りはもうすぐ終わりですとスタッフが教えてくれるけれど

終わって欲しいような終わってほしくないような気持ちやわ、とスタッフと話す。

32`堀切付近でようやく四万十川とご対面。

1番目の目標、四万十川を見るまで走る、達成!

ゆったりと大きく流れている川をこの目で見ることができた。

水量も適当でイメージ通り。

ここからは、川の景色を楽しみながらゴールを目指そう。

シューズに入った小さなゴミを取るために道路脇に座って

シューズを脱ぐと左の靴下、穴が空いてる。

走るのに支障はないのでそのままシューズを履く。

30〜35` 28:32

 

「普通」の橋を2回渡る。

脚は順調。ただ、私の予想ペースは速いと言われた。

ウルトラは抑えて抑えて後半に上げるくらいがベストとも言われた。

50`までは`6分ペースで走るのが私の計画。

今のところ、ほぼ予定通り。

民家の途切れる川筋でも声援をかけてくれる。

35〜40` 30:05

 

40`付近で川向こうから60`の部の開会式の声が聞こえる。

川が大きく蛇行しているので方向感覚がなくなりそうになる。

快晴の下川沿いの木陰を走るので、実に気持ちがいい。

途中でフルの距離を通過したけれど、これほど楽な気持ちで

フルの距離を走ったことはなかった。

ゆっくりとは言えイーブンで走ることの大事さを実感した。

40〜45` 31:05

 

このあたり、あまり記憶にありません。

多分一番声援がなく黙々と山すその川沿いを走った所かな?と思います。

45〜50` 30:39

 

ようやく、あの憧れの沈下橋まで到着。

ダラダラっと下って橋を往復する。

両側に欄干がないからちょっとだけ不安になった。

向こう岸では絶好のカメラアングルとなるのでカメラがずらっと並ぶ。

手前にいた応援してくれていた人に厚かましくもお願いして

向こうから走ってくる姿を撮ってもらう。

50〜55` 33:18

 

もう、半分終わった!と思ったけれど、沈下橋の後の上りがきつい。

峠を超えて淡々と走ってきた体にとってこの坂は応える。

距離的にはさほど長くはないと思うけれど、早くピークがこないかと思う。

坂の頂上でスタッフが坂は終わりです、このあとこの様な坂はありません、と。

うれしいなぁ。自然と頬がゆるむ。

でも、これからは、少しの上り下りでも敏感に脚が反応するんだろうなと思う。

下りながら、名古屋から来たランナーと少し話をする。

お先にどうぞと言いながら、私が先行してしまいました。

55〜60` 36:51

 

カヌー館に到着。

大勢の人たちが出迎えてくれました。

思わず、やったぁというポーズを取ってしまいました。

ここでなんと、カメラをかかえた「らむかなさん」に会う。

カメラの前でしばし「ハイポーズ」。

荷物を受け取り、テントの下でひとときの休憩。

いろいろ詰め込んだけれど、結局アンパンをかじりチョコを食べただけで

自販機でコーラを買って飲み、数分の休憩を取っただけで再びコースへ。

薬のせいか、脚の裏の違和感や筋の痛みはさほど気にならないけれど

太ももの前あたりに張りを覚えるようになってきた。

60〜65` 40:41

 

マラソンで歩くことに罪悪感があったけれど

ウルトラでは歩いてもいい、時として歩いたほうがいいとも言われた。

65kmから1kmほど気分転換もかねて歩くことにしたけれど

半分も行かないうちに前方から元気のいい中学生らしき

スタッフから「がんばってくださ〜い!」なんて言われたものだから

そこからまた走り始めてしましました。

70km手前で二つ目の沈下橋を今度は渡りきる。

65〜70` 41:53

 

しばらく走って再び橋を渡る。

カヌー館を過ぎてから道が比較的広い部分があり

そこでは日差しがあるものの風が吹いているので

暑さを感じることはない。

ただ、沿道の声援が途切れがちになり、疲れてきた体が回復しない。

短い距離で時々歩きが入る。

95km地点までの間で4回計2km弱ほど歩いたかもしれません。

70〜75` 35:58

 

カヌー館に着いた時点で脚によほどのアクシデントがないかぎり

ゴールできる計算が出来たので気分的に随分と楽になりました。

時々歩くと言っても結構速足です。

それでも、「歩く」と「走る」では脚への負担が比べ物にならない。

疲れた頭でゴールタイムを予測するけれど、中々計算ができない。

やっと11時間を切るのはしんどいのがわかってきた。

自販機でコーラを買おうとしたら売り切れていたのもこのあたり。

75〜80` 36:22

 

80km過ぎに噂に聞いていた私設のスシエイドを見つける。

川エビを食べてスシもよばれて、ヤクルトを飲んで・・。

タタキを薦められたけれど、疲れた体になま物はきついかな、と思い丁重にお断りする。

ここが一番充実したエイドでした。

先ほど買い損ねたコーラを求めて右側に出て一息入れる。

声援をかけてくれる地元のおばさん達としばし歓談。

記念に一緒に写真を撮ってもらいました。

後半は道の左側にエイドが置かれているけれど、後で聞いた話では

右側にぜんざいをだしてくれたエイドがあったそうです。

行きたかったなぁ。唯一の心残りです(笑)。

来年クリアーすることにします。

80〜85` 44:15

 

このあたりから、ポツンと一人になったりするようになる。

周りに人がいれば平気だけど、一人になると「歩き」の誘惑にかられる。

後半のエイドでは、梅干やミカンを多く見かけるようになる。

梅干はあまり酸っぱくなくて食べやすい。

缶詰のミカンを2,3回いただく。

水分補給をし過ぎると塩分が足らなくなるので、塩も数回補給。

コースも少し単調になるし、脚も頭も疲れきっていて

この付近からは、走りの内容の記憶があまりありません。

覚えているのはエイドには必ず寄っていたこと。

85〜90` 37:40

 

フルを走る時は1分1秒を争う感じですが

ウルトラを走ってみて思ったのは

時間の単位は秒ではなく分から始まる感じです。

トータル時間、私はややこしいこともあって30分単位で考えました。

脚はとことん疲れてきているけれど、不思議なことに

終盤はエイドタイムを除けば`7分以内で走り続けられている。

80km位から「復活」するんですよ、と聞いたことがあったし

ユリカモメでも少し体験したけれど、今回もプチ復活でした。

90〜95` 36:27

 

あと5km。

それでも、景色はあまり変わらない。

11時間半を切るのは確実となったので、95kmから96kmまで

歩いて英気を養うことにする。

ちなみにこの1km、歩いて8分40秒。

だらだらと下りが続きあと2km付近で街並みが視界にはいる。

帰ってきた。帰ってこれた、自分の脚で。

胸にこみあげてくるものがあった。

最後の坂にさしかかると、頂上でここからは下るだけだよと教えてくれる。

ピークまで少し歩いてそこから一気に駆け下りる。

くねくねと街中を走りながら、ついにゴール!!!!!!

ガッツポーズでゴールラインを走りぬけました。

95〜100` 35:39

ネット   11:19:14

グロス   11:19:28 男子総合280位

 

完走メダルを首にかけてもらう。

 

長い長い一日が終わりました。

走りたかったウルトラ。

走ってみたかった四万十川。

終わってみればあっという間でした。

 

ラン友が送ってくれた足の神様・服部神社のお守り。

苦しくなった時も「お守り」が私の脚を守ってくれました。

 

夏場のどん底の頃には、折角手に入れた権利ではあるけれど

真剣に参加を取り止めようと考えた時期もありました。

走る生活を止めれば脚の故障に泣くこともないだろうし。

しかし、ただの「おっさん」に戻りたくなかった。

その一心で練習を積みなおして

スタートラインに立つことも出来たし

ゴールラインを掛け抜けることもできました。

ハーフやフルは勢いや力があれば走れるけれど

ウルトラは「勢い」や「力」で走るのではなく

この距離を走りたいという「気持ち」で走るように思いました。

 

松明の灯りを見てから憧れ続けた四万十川。

沢山の声援、多くのスタッフ、暖かい歓迎。

どれも期待を裏切りませんでした。

来年も「申し込み」をします。

 

今回は濱ちゃんをはじめとして沢山の方々と

楽しく賑やかに3日間を過ごすことができました。

右も左も判らない私が気楽な気持ちで走れたのは皆さんのおがげです。

走る仲間はいいなぁと今回また改めて思いました。




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